「水想観」「宝地観」 浄土の滝に囲まれた祈りの間

2階は、千住博画伯による「浄土の滝」が描かれた襖で囲まれています。
アメリカの平成13年9月11日に起きた同時多発テロ事件の被災地であるグラウンド・ゼロには、悲しみを浄化する滝がしつらえられていますが、本堂においては千住画伯の滝が心を浄化してくれます。


千住博画伯の浄土の滝


「水想観」では、極楽浄土の大地が限りなく拡がる水平の様相を持っていることを推量し、次に氷想によって固く透明である大地の様相を推量します。水の入れ物を身体とすれば、中の水は対象を移して揺れ動く心、物を投じて生ずる波は乱想の煩悩、波が次第におさまって静止することは精神統一に努めて心が一所に集中してゆくことが説かれます。水から氷、瑠璃の観想へと進むのが水想観ですが、『観経』で瑠璃は極楽の大地をさします。

この水想観を持続させることで三昧状態に至ることが宝地観です。
「宝地観」の終わりには、八十億劫の間生死を繰り返す罪が除かれ、この身を捨てて来生に必ず浄土に生まれると記されておりますが、畳に座り、静かにじっくり襖を見ていると、この「浄土の滝」と外回廊に見える竹林とがあいまって、あらゆる苦しみ・悲しみ・罪が滅せられ、心穏やかに極楽浄土の地に居るかの錯覚が感じ、極楽の大地の片鱗が観想されることでしょう。




祈りの間は千住画伯の襖により、4つの部屋に仕切ることができます。西側の床の間がある部屋には、炉も切られており、本格的な茶室としても使用できます。







2019年10月01日|ブログのカテゴリー:極楽浄土