法規 ~EVの敷設と渡り廊下による接続~

現行法規の適用を受ける本堂との接続(同一棟の増築)

現在の建築基準法における耐震基準は、1978 年の宮城県沖地震の被害分析に基づいて1981 年に改定され、これ以前のものを旧耐震、これ以降のものを新耐震とよんでいる。1995 年の阪神・淡路大震災で旧耐震の建物に崩壊・倒壊などの大きな被害が集中したことから、耐震改修の必要性が認識され、建築基準法も大幅に改正された。

念仏堂と本堂を接続する場合、本堂と同じ棟の増築とみなされ、本堂床面積の1/20かつ50 ㎡を超える増築については、原則として建築基準法令137 条の2 により、現行法規に適合させることが求められる。ただし、現実的には旧耐震基準で造られた建物を現行法規に適合させることが難しいため、面積による緩和規定が設けられており、念仏堂の床面積が本堂の床面積の1/2 以下の場合、構造耐力規定については、耐震改修方法に対する構造評定を受けて、新耐震基準の最低レベルと同等以上の耐力が確保できると認定され、それに基づく改修工事を行えば、現行法規に適合しなくてもよいこととなっている。

また構造的な法規制以外にも、防火・避難についても現行法規の適用を求められるが、同じく面積による緩和規定があり、念仏堂の床面積が本堂の1/2 以下の場合、「全体計画認定制度」を用いて最大20 年以内に現行法規に適合させればよいこととなっている。




現行法規の適用を受けない本堂との接続(別棟扱い)

現行法規に対する適用は、面積緩和を用いても、本堂に対して大掛かりな工事が発生し、特に排煙設備については設置が難しく大変な改修工事となる。そこで、なんとか本堂が現行法規の適用を受けない接続方法はないかと調査したところ、開放的な渡り廊下を建物間に挟むことで、本堂と念仏堂を別棟としてよいという行政判断があり、これを用いれば、念仏堂が本堂に対する増築にあたらず、したがって本堂に対し現行法規の適用も求められないことがわかった。

この行政判断は、行政主体によって基準がまちまちであるが、墨田区の場合は以下の条件が整えば別棟と認めることができるとの回答があった。(平成22 年6 月29 日墨田区都市計画部建築指導課)



なお渡り廊下部分は屋外なので、耐火構造において外部鉄骨階段が許されているのと同様に鉄骨造であれば耐火被覆はいあらないと考えているが、確認が必要である。


本堂と念仏堂を別棟扱いとする場合は、以下のような接続方法が考えられる。


本堂と念仏堂の間をすべて開放的な渡り廊下とする場合

本堂と念仏堂の際で、エキスパンションジョイントを設け、EVや階段部を開放的な渡り廊下とする方法である。構造的には素直な方法であるが、渡り廊下の3階には屋根を設けることができないため、EVを使って念仏堂の3階に行く場合は傘が必要となる。ただし本堂の3階屋根から庇を出すことにより、本堂3階の羅漢堂には雨に濡れずにアクセスできる。

なおペット受付部は床面積に含まれないように、開放的な格子で囲われた半屋外の空間とする必要がある。




エレベータと階段を本堂に増築し、開放的な渡り廊下を最小限設ける場合

EVと階段部分を本堂の床面積に対する1/20 以下かつ50 ㎡以下の増築として、現行法規の適用を受けないようにし、かつ念仏堂との間を最小限の渡り廊下で接続する方法である。

増築部分は、3階に屋根をかけることが可能であり、念仏堂側からも庇を張り出すことにより、EVを使って本堂や念仏堂へ雨に濡れずにアクセスできる。

また増築部分は50 ㎡以下であれば床面積に含まれてよいので、寺務所と一体となった屋内のペット受付をつくることが可能である。ただし開放的な渡り廊下の両側でエキスパンションジョイントを設けなければならないこと、本堂の増築部分についてもエキスパンションジョイントになることから、柱が多く発生し、構造的には複雑になる。








2019年10月01日