各堂宇をつなぐ立体的な回廊は、念仏回廊と呼んでいる。この計画の大きな目標は都会のオアシスとなる参道や広場の拡張であり、念仏回廊にも参道沿いの既存の竹から連続するように竹を列植した。この念仏回廊は、僧侶や壇信徒が移動の際に必ず通行することとなるが、ちょっとした設えを加えている。浄土宗の宗祖法然上人は、念仏を唱えることで誰でも極楽浄土に行けると説いた。したがって僧侶や壇信徒は、歩きながらでも念仏を唱え、数珠を繰りながら何回念仏を唱えたか数えるのである。
この念仏回廊には数珠に見立てた108 個のスワロフスキーの珠が連なる54 本の宝樹を竹林の中に混在させている。珠の数だけ念仏を唱えながら、回廊をぐるりと巡ると千念仏行を行ったことになるのである。
大般若経には、「極楽浄土は七宝樹林に囲まれ、虹色に光り輝きけり…」と説かれている。
この念仏回廊では、珠を数えながら、念仏を唱えるとスワロフスキーのプリズムの輝きによる極楽浄土が垣間見えるという設えとなっている。
竹林の中のスワロフスキーの宝樹
スワロ社とヨットのポール製作工場で試作を繰り返し、テンションをかけた状態で固定している。
親珠の中には回向院に存する40 体の仏像を立体スキャンしてレーザーで彫り込んである。