極楽水を用いた浄土庭園

宗慶寺の縁起は、この地に清泉があり、そのほとりに草庵を結んで「吉水」と呼んだことによる。
この吉水は後に極楽水と呼ばれ、その遺構が隣接するパークタワーに設えられている。

そもそも寺院は、ご本尊への信仰を結ぶ場所であり、山門の内側の寺院の境内は御仏様を祀る聖域として、浄土庭園などに代表されるように「極楽浄土」が垣間見える空間として設えられるのが常である。しかし、現在の宗慶寺は都心のお寺であるため、境内地が狭く、山門がないため、猫の額のような前庭は道路の延長のような印象を受けて、本堂が俗世と直に接しているような印象を受ける。

今回の計画では、極楽水を用いた浄土庭園をつくり、宗慶寺に境内地の聖域感をもたらそうと考えた。



平等院鳳凰堂 浄土庭園


今回の改修計画において、核となるのは壇書院の改築であり、それをどこに配置するかによって、本堂前の雰囲気が大きく変わることとなる。そこで、さまざまな配置方法の検討を行った。


浮き床案
現在の書院が建っている場所に、建物を持ち上げて、建物下部を極楽水とし、庭と一体となった浄土庭園をつくる案。パークタワーの緑とも一体となって、奥行きの深い庭園をつくることができる。持ちあげた建物で圧迫感が生じないようにしなければならない。

増築1階部分は西側の庭とつながる開放的なピロティとする。増築2階に壇信徒控室を設けて、庭と一体となったピロティの池を回廊で巡りながら控え室に至るようにする。増築3階に壇信徒塚と歴代住職墓本堂を設け、それぞれの場所には本道のEVでバリアフリーにつながるようにする。











2019年10月01日|ブログのカテゴリー:極楽浄土