格子棚で箱をつくり、土を込める

今回の建物について、お寺さんから求められたのは墓地の区画(約4m×8m)の範囲内に納めること、すでにお寺にあった阿弥陀如来像を設置すること、60棚以上の納骨スペースを確保することの3点で、どのような建物とするかは任せてもらいました。

壇信徒塚において人が入る内部空間は納骨スペースだけなので、納骨堂が建物の形になります。
お堂を造って中に棚をつくる方法が一般的ですが、今回は鉄板で箱棚をつくり、それを重ねて立体格子の建物構造としました。
1枡の箱は骨壷の大きさから決めた45cm×45cm×45cmです。箱を4列×5段重ねて1面とし、2.2m角のボックスとしました。



工場にて格子棚を作成する様子


筒抜けの箱を構造としたのは、必要性から求められる形で素直なビルディングタイプをつくりたかったことと、密閉されたカビ臭い納骨スペースとなることを避けたかったからです。

最初は宝物庫から着想して木箱とする方法や蔵から着想してしっくいや土蔵とすることを考えたのですが、筒抜けとなった鉄箱部分に調湿作用のある土を込めることで、不朽や耐火という永代供養のための必要条件も満たすことになり、より素直に求められるビルディングタイプに近づいたと思っています。



鉄板の格子棚に土を詰める様子



完成した檀信徒塚






2019年10月01日